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制作・編集/ナノグラフィカ
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2009.01.30更新
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report from ぱぴる文庫
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松本や安曇野周辺には天然酵母と国産小麦を使ったパンやさんがたくさんありますが、“梓パンと木のおもしろ工房『パントキ』”の名前にひかれ、先日初めてパンを買いに行きました。『白神こだま酵母』という野生酵母と信州の地粉で作ったられた石窯パンは、まわりはさくり、中はほんわり柔らかく、ほのかに甘みがあって、子供が毎日食べたくなるようなやさしいパンでした。

『パントキ』は、小口明宏さん・愛弥子さんご夫婦が古民家を改装して営まれています。その名のとおりパン屋さん+家具屋さん+カフェの顔を持ち、おうちの玄関を開けると、土間の奥にはかわいらしいパンが並んでいます。隣の部屋が明宏さんが作っている無垢の木のテーブルのショールームになっていて、そのまた隣が現在改装休業中のカフェスペース(4月末頃より再開予定)。置かれたテーブルの柔らかな木肌は、どこかあのほんわりしたパンを思い起こさせます。作っているのは夫婦それぞれ別々の手なのに、パンも家具も看板やお店やカフェの雰囲気にしても、ふたりが共同で作り上げているのが感じられる、たいへん心地よい場となっています。


このような多目的スペースは、お店をやる方にしたらいろんなことができて楽しいし、様々な人たちが足を運びやすくなるし、訪れる人にしても1粒で3粒分おいしいくていいことずくめ。ネットにはない血の通った情報共有のスペースという形も兼ねて、これからもっと増えていくと思います。同時にあちらこちらにあるこういったスペース同士が、それぞれ全く独立しながらも、ごく緩やかにつながっているのもよいものです。安曇野周辺で思い浮かぶだけでも、『Gargas』(松本/カフェ+ギャラリー+雑貨屋さん)、『ひつじや』(穂高/レンタサイクル+カフェ+安曇野インフォメーション…)、『本の家』(高遠/本屋さん+カフェ)、そう言えば『ナノグラフィカ』(長野/いろいろ)もかなりわけのわからないスペースでした。かくいう僕自身も、自分で食べる野菜やお米を作りながら、いろいろな形を兼ねたスペースを持つ新しい兼業農家を目指そうと考えています。


さて『パントキ』のパンの話です。オープン当初は、以前パン屋さんで仕事をされていた愛弥子さんが担当してパンを焼かれていたそうですが、つい最近赤ちゃんが生まれた事なども手伝い、現在はふたりで作っています。毎日食べることができるパン、子供が好きなパン、シンプルで安全なパン、楽しみながら作る楽しいパン。近所の子供がお小遣いを握りしめてパンを買いにきて、『今日は大きいのしか持ってないけどいい?』と聞かれたその手にあったのは500円玉だった、なんていううれしい話も聞かせてもらいました。


ところで最近では一般的になっている天然酵母って何なのか、今さらですがちょっと調べてみました。酵母というのは微生物の集まりで土の中や植物の実や葉っぱに住んでいます。そしてこの酵母が呼吸することでパンが膨らみ、それぞれの酵母独自の風味を与えてくれるのですが、普通のパン作りに使われている『イースト菌(直訳すると酵母菌)』も元は天然に存在する酵母で、パンの発酵に適した種類を化学添加物を加えて培養したものです。また天然の酵母を化学添加物を使わずに培養し使いやすくして市販しているものに、『ホシノ天然酵母』や、白神山地のブナの腐葉土に住む野生酵母『白神こだま酵母』などがあります。
また身近にある天然のものから自分で酵母を培養することもできますが、ひとくちに天然酵母といっても様々で、それぞれ風味も発酵力も違います。ブドウやリンゴといった果実、ミントやバジルなどのハーブ、人参や大根などの野菜、ピールや日本酒などのお酒、玄米や小麦といった穀物、ヨーグルトや牛乳といったものに、小麦粉や糖分などの餌を与えてゆっくりと酵母を育てていく自家製天然酵母のパンは、発酵具合がなかなか一定せず、膨らむ力か弱かったり、手間もかかるといいます。

ずっしりと重くて、噛めば噛むほど味が出る、自家製天然酵母のパンは僕も大好きですが、白神こだま酵母を使った『パントキ』のパンはとても親しみやすいパンです。お店を始めるにあたり、旅をしながら見て回ったラオスのパン屋さんで、壁一面はある大きな石窯を目にし、そこで焼かれた素朴なパンに心ひかれて、自分たちで石窯を作ることを思いたったそう。現在の石窯は2作目、あのさっくり感はこの窯ならではのものかもしれません。ということで、今度は石窯でどうやってパンを焼いているのか、ちょっとおじゃまして来ようと思っています。
パントキ~梓パンと木のおもしろ工房~
長野県松本市梓川梓6784
TEL/FAX0263-78-6237
http://pantoki.web.fc2.com/index.htm

(写真・文 宮阪靖夫)
ぱぴる文庫