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2009.03.13更新
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report from ぱぴる文庫
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1月の雪の残るとある朝、梓パンと木のおもしろ工房『パントキ』さんで、石窯パンを焼く様子をみせていただきました。朝とはいえもうだいぶ日が昇り、すでにおおかたパンの下準備も終え、石窯にくべられた薪もほぼ燃え尽きた頃に山際にあるお店にたどりつきました。


石窯は最初に薪を燃やして窯を高温にしたら、残った“おき”をかき出してから、そこへパンを入れて焼き上げていきます。普通のオーブンのように、温度が下がったからといって簡単に加熱するわけにはいかないので、温度が下がらないうちにどんどんパンを焼いていかなければなりません。パンの種類も最初は高温で焼き上げるものから焼き始め、それを取り出した後はもう少し低温で焼き上げるものへ、その次はもっとじっくり焼くものへと、何回にもわたって焼いていきます。この日は、最初のトマトのピザから始まって、新作ハート形のリンゴパンや、かわいい形のひよこパン、おせんべパン、バケットなどが続いて焼きあげられ、ちょっと甘めで焦げやすい、きのこパンやプチあまパンなどは、温度が下がってきてから窯に入れられていました。


ちょうど寒さが最も厳しい季節で、特に冬場は石窯の温度を保つのがたいへんだそうです。アルプスの冷たい風が窯の温度を下げてしまうため、ゆっくりしている暇はないのです。だからふたりの共同作業も全く滞ることなく、次々とパンを窯に入れては焼き上げて、窯から出してはまた入れての作業を繰り返しながら、焼き上げられたパンはすぐそのままお店へと並べられていきます。その日の温度や天気、酵母の具合などで出来上がりも全然違うので、気を抜くことの出来ないパン作り。


ここからすぐ近く、穂高にあるシャロムのカフェにも自作の石窯があります。こちらは周りを建物で覆っているので風が直接吹きつけることはありませんが、パントキの窯は3方向に壁があるものの入り口に壁がないため、温度を保ちながら焼き上げるのには一層神経を使いそうです。ちなみにうちの父もある人のためにドラム缶のパン窯を設計して、今もしっかり実用になっているようです。なかなかやるなー


写真上/シャロムの石窯 下/父設計のドラム缶窯
毎日のパン作りは大変だとは思うけれど、自らの手でこね上げ、形作り、火をおこして焼き上げるというのは、本能的に惹かれる作業でもあります。子供の頃はみんな粘土遊びが好きだっただろうし、火を焚けば誰しもその炎に目を奪われ、そして最後に窯に入れてそれが出てくる時には全く別のものに変わっている。取り出すまでどう変化しているのかわからないから、よけいに楽しい。パンを作るのが好きは人が多いのもなんとなくうなずけます。

自分の手で作り上げる楽しさを、出来上がったパンを通して感じさせてくれるようなそんな楽しいパンやさん、パントキ。思い出したら食べたくなってきたのでこのへんで。
(写真・文 宮阪靖夫)
ぱぴる文庫