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N News and Report

いつまでも新しい懐かしさ

2009.10.31更新

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〜D&DEPERTMENT PROJECT 長野市上陸〜

9月19日。
「シルバーウイーク」突入直前に、長野駅近くに新しいお店が開店しました。

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「D&DEPERTMENT PROJECT」というそのお店は、日本全国各都道府県に一つずつ、を目指して現在各地での展開を進行中。

日本のデザインシーンを「売り場」の視点から考え続けるそのお店に並ぶのは、「ロングライフデザイン」をキーワードにセレクトされる主に60年代を中心に生まれた品質本意の「良品」たち。

60年代。
日本が高度成長を遂げた時代。
戦争の傷跡が薄れ、廃墟から立ち上がった日本が欧米に比べて遜色のない力をつけようと始動を始めた時期。

実は、私は1960年生まれなので、まさにこの時期に幼少時代を送っています。
家庭にテレビが一台、洗濯機も冷蔵庫も一家に一台置かれ始めた時期です。
「もの」に対しての意識はとても強く、「いいもの」「長持ちするもの」が求められていました。白黒テレビで流れるCMでも、品質の良さや丈夫さをアピールするものが多かったように思います。

今でも覚えているのが、自分も持っていた筆箱のCM。
「ゾウが踏んでもこわれない」というキャッチコピーが流れるその画面で、実際に筆箱の上にゾウが乗っかるのですけど、あの巨体にびくともしない筆箱はものすごく頼もしく見えました。
実際、小学校の時に買ったその筆箱は落としても踏んでもびくともせず、私が大人になって子供たちがおもちゃ入れに使うまでずっと活躍していました。

あの頃のものは、本当にしっかりできていました。値段は決して安くなかったので,ものを買うのに何をどう選ぶのかを一生懸命に考えて買い物をしました。
学校の文房具……鉛筆一本、ノート一冊買うのにも、じっくり考えて買っていたように思います。

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ものに対してのそういう思いや意識がちゃんとあった時代。なので「落とし物」の持ち主が見つからない、などということはあまりなかった記憶があります。

人の生活の中にものがある。ものは人とともにちゃんと存在する。
使い捨てではなく、長く、ずっとともに生活するものとして。
……60年代とは、そういう時代でした。

なので、このD&DEPERTMENTのコンセプト「ロングライフスタイル」を聞いたときに、私はものすごくうれしくなりました。

今は、傘一本100円、腕時計も1000円で買えてしまいます。すぐに動かなくなっても、使えなくなっても、新しいものを手に入れた方が補修するよりも楽ちんです。
「修理する」という言葉もあまり聞かなくなりました。
60年代を生きてきた自分には、それはやはりなんだか悲しく薄っぺらく感じてしまうのです。ものとの関わりが薄くなって、愛着あるものに出会う機会も少なくなって。

そんな「ものとの出会い」にわくわくする機会が減っている今、かつて物が共にあった時代の心を生かしたお店ができるのですから。

さて、お店のコンセプトが先に立ちましたが、D&DEPERTMENT PROJECTは今年で10年目を迎えるそうです。東京、大阪、札幌、静岡、そしてこの長野が5店舗目の展開になるのです。

代表であるナガオカケンメイ氏。
彼は、1965年北海道生まれ。2000年、「デザイナーが考える売り場」を追求すべくデザインとリサイクルを融合した新事業 「D&DEPARTMENT PROJECT」を開始。2002年より日本のものづくりの原点商品、企業だけが集まる場所としてのブランド 「60VISION」開始。カリモク、ノリタケなど12社とプロジェクトを進行しています。

デザイナーが、自ら売り場までデザインする。商品を生かすデザインで……。
このコンセプトは、お店のオープン前からちゃんと生きていました。

わたしはお店の準備期間から取材におじゃましてきたのですが、お店の改装自体がすでに業者にお金払って任せきり、ではありませんでした。

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専門家の手が必要な部分は業者がやっていましたが、それ以外の部分・・たとえば周りの壁を塗るところは自分たちでやり、事務所の机やショーケースは自分たちでリサイクル、そうしてスタッフが自ら手を加えながらお店ができあがっていったのでした。

また、お店に並ぶ物もスタッフが厳選した物。D&DEPERTMENTのオリジナルの商品の他に「地域の中でもデザイン的に優れた物産」を取り上げて扱うので、ここに来ると県内の品物も手に入れることができるのです。

D&DEPERTMENT PROJECT の長野店の代表である瀧内さんは、開店前に県内の優れた品物をセレクトして、それをお店においてもらえるように各地で交渉を重ねました。

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この日は、小布施堂の市村社長と真剣にミーティング。
こういうことを重ねつつ、次々とお店に並ぶ品物がラインナップされていったのです。

そうして、いよいよオープン前日。
オープニングセレモニーが華やかに開催されました。

1Fは、開店後はカフェとして展開するのですが、この日はパーティー会場としてたくさんの人が詰めかけました。
2Fは、ショップです。翌日からの開店に向けて、すでによそ行きの顔になった品物達が所狭しと並んでいました。

お店の2階の、ビフォーアフターをご覧ください。

【BEFORE】
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【AFTER】
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「売り場からすでにデザイン」というお店のこだわりがあちらこちらに感じられる店内では、「お店」とは思えないくつろぎ方で商品の良さを感じている人々の姿も見かけられました。(本も、ソファも、机も照明も、みんな商品なんですよ。)

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そして、ゆっくり見回す店内には、その「物」の背景と一緒に展示された品物、長く使われていまだに見覚えのある品物………。

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このはさみ!丈夫で切れ味よくて、切る力も少なくて。私もずっと愛用している一品です。
大学ノート。飾り気がないやつだけど、どんな用途にも使えて。自分でシール貼ってアレンジしてみたり、勉強ノートになったりお絵かき帳になったり。紙が厚手で、消しゴム何回かかけても破れにくいし、ほつれにくい。

真ん中の写真は「ふきん」。奈良県の物。縫っている写真が添えてあって、作った人の心がそこに一緒にかいま見えます。

2階から1階に下りてみます。
ここは、長野店のオリジナルカラーを出しているところ。
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1階のスペースは「トラベル情報」が集まっているD&TRAVEL CAFÉのスペース。

「長野市を歩くときにまずここで情報を仕入れてから出かける、県内の情報もここで仕入れて出かける、それも美味しいコーヒーを飲みながらね。」
と、瀧内さんの思い入れいっぱいのスペースです。

カフェ横のスペースに、県内のトラベル情報や物産が並ぶ棚が置いてあり、喫茶スペースでは「丸山コーヒー」のまめを使った美味しいコーヒーはじめ、県内産のジュース、夜にはビールやワインなども味わうことができます。
パーティの夜はそれらがふるまわれましたが、新鮮なジュースは目に鮮やかでのどごしさわやか、添加物もない安心さで疲れた体にしみていきました。

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長野駅近くのここで一息入れながら、長野県内の情報をつめこんで。
そうして長野市内巡りや県内各地へ旅立っていく。

そういう「情報の提供」と「県内のおいしさ紹介」もここでやってしまおうという目論見です。そう、旅人の旅の「デザイン」のお手伝いもしてしまうということなんですね。

さて。
いよいよ開店当日。

緊張の面持ちだったのは、スタッフの皆さんだけではありませんでした。
売り場の商品たちも、心なしかよそ行き顔でかしこまっていました。
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2階スペースで一番緊張した顔をしていたのが、多分リサイクルの品々でしょう。
新しい持ち主を待って、ドキドキしていたに違いありません。
このD&DEPERTMENTで扱うのはオリジナルの商品だけではなく、リサイクルの物もあります。セレクトするのはスタッフ。デザイン的にお眼鏡にかなった物をまるで新品同様に磨き上げて、お店に並べるのです。

「リサイクルの食器でも、そのまますぐに水を汲んで飲めるくらいにちゃんと磨き上げてあるんですよ。」と、瀧内さん。

その他に、学校の教室で使われた机の天板を利用した写真立ても。(写真左上)机に残った小さな傷もそのままに、かつて学校でいろんな子供が使った温もりを閉じこめて、新しく写真立てとして並んでいました。

D&DEPERTMENT PROJECT NAGANO by COTOは、オープンして1ヶ月。
その歩みはまだまだこれからですが、「ロングライフデザイン」というそのコンセプトそのままに、長野市の一画で新しい「デザイン」を提示していくことでしょう。
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写真は代表の瀧内さんと机の天板利用写真立てにおさめられたお祝い寄せ書き。

写真・文:駒村みどり

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